Sharing Cup M/Lの大容量モデルが正式登場:私たちのデザインについて
お待たせしました。大容量のSharing Cup MとLが正式に発売されました。今回は、この二つのカップに込めたデザインの考え方を、気軽にご紹介します。
コーヒーカップで、本当に風味は変わる?
Sharing Cupについてお話しする前に、意外と見落とされがちなことをご紹介します。どのカップでコーヒーを飲むかによって、感じる味わいは実際に変わります。
これは感覚だけの話ではなく、研究による裏付けがあります。オックスフォード大学のCharles Spence教授と神経科学者Fabiana Carvalhoの研究では、カップの形、口縁の厚さ、さらには色までが、コーヒーの甘味・酸味・苦味の感じ方に影響すると示されています。
ワインに専用のグラスがあるように、コーヒーの器にも丁寧に向き合う価値があります。
飲み口の広さ:容量だけの問題ではありません
飲み口のデザインというと、香りを集めるために口がすぼまったワイングラスのような形を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、いくつかの研究と私たち自身のテストから、この考え方は改めて検討する余地があると感じています。
狭い飲み口の特徴:
- 香りが集まりやすく、より強く感じられることがあります
- 一方で、飲むときにコーヒーが舌に触れる面積は小さくなります
- 鼻が口縁に当たりやすく、飲み心地を損なうことがあります
広い飲み口の特徴:
- 液面が広く、香りがより自然に広がります
- コーヒーが舌全体へ均一に流れ、風味をより立体的に感じられます
- 広い飲み口は、甘味をより感じやすくする可能性があるという研究もあります
私たちが広口設計を選んだのは、コーヒーと空気が触れる面積を広げることで、香りが自然に立ち上がると考えたからです。カップを口元へ近づけるだけで、意識して嗅ごうとしなくても香りがそこに感じられます。

口縁の厚さ:見落とされやすい細部
口縁の厚さは、カップを選ぶときにあまり注目されない要素です。しかし、飲用体験への影響は想像以上に大きいかもしれません。
厚い口縁の印象:
- 唇に触れる面積が広く、丸みと厚みのある感触になります
- 一般に保温性に優れます
- 心理的に、コーヒーをより濃厚で重厚に感じることがあります
- ただし、繊細な風味を感じ取る力がわずかに弱まることがあります
薄い口縁の印象:
- コーヒーがより直接口へ流れ込み、「カップ」の存在感が薄れます
- コーヒーの細かな風味の変化を捉えやすくなります
- 軽やかで上品な口当たりになります
- 複雑な風味を持つスペシャルティコーヒーのテイスティングに適しています
Sharing Cupに薄い口縁を採用したのは、口元の「異物感」を減らし、カップがコーヒーとの間を遮らないようにするためです。口縁が薄いほど、コーヒーそのものへ意識を向けやすくなります。

素材の影響:なぜ黒土の陶器を選んだのか
カップの素材によっても、コーヒーの温度と風味への影響は異なります。
陶器の利点:
- ガラスより保温性が高く、研究では陶器の放熱速度はガラスより約11%遅いとされています
- 素材自体がコーヒーの味を損ないません
- 陶器の微細な気孔が、自然な断熱層をつくります
- 温かみのある質感で、手にしたときも心地よく感じられます
黒土の陶器を選んだのは、独特の質感と色合いだけでなく、保温性と手触りの両面がコーヒーを味わう器に適しているからです。
では、Sharing Cupが届けたい体験とは?
これまでの考えを踏まえ、Sharing Cupシリーズは次の方向でデザインしています:
- 広口設計:液面を広げ、香りをより感じ取りやすくします
- 薄い口縁:口元の異物感を減らし、風味をより直接届けます
- 黒土の陶器:優れた保温性と独特の手触りを備えます
Sharing Cupでコーヒーを飲むとき、カップそのものに気を取られず、香りと風味をより自然に感じていただきたいと考えています。
Sharing Cupシリーズ全体のデザイン方針
S、M、Lのどれを見ても、同じシリーズだと分かる外観を目指しました。Sharing Cup全体では、香りの体験と、口に触れたときの異物感を減らすことという二つの方向を重視しています。

薄い口縁と、その厚さについて
Sharing Cupは全モデルに薄い口縁を採用しています。ただし、カップが大きくなるほど口縁も少し厚くなります:
- S:口縁は約2mm
- M:口縁は約2-3mm
- L:口縁は約3-4mm
これは陶器を焼成するうえでの物理的な制約によるものです。大きな陶器ほど高温焼成中に崩れたり変形したりしやすく、薄すぎる厚さのまま大型化すると、窯の中で破損する可能性が高まります。
私たちは多くの時間をかけて試作し、薄さと構造の安定性が両立する地点を探しました。現在の厚さは、黒土という素材で安全に実現できる境界を見極めたものです。
厚い口縁のモデルを出す予定はあるかというご質問もいただきます。現時点では予定していませんが、将来の可能性を否定するものではありません。
Mモデル:シェアとテイスティングのバランス
Mの口縁直径はSより約1〜1.5cm 大きく、中央部の深さも増しています。
こんな方に適しています:
- 一度に15-20g のコーヒー粉で抽出することが多い
- 2〜3 回に分けてゆっくり味わい、温度変化による風味の移ろいを楽しみたい
- 同じポットのコーヒーを友人と分け、異なる段階の味わいを楽しみたい
- Cafeを運営し、お客様へより良いテイスティング体験を提供したい
この設計により、飲むときに鼻が飲み口の中央へ自然に収まり、香りを無理なく感じ取りやすくなります。

Lモデル:一杯で最後まで楽しむ満足感
Lは、今回もっとも設計に時間をかけたモデルです。
口縁直径はSより約 2.5cm 大きく、容量は約300〜330mlです。Sharing Cupシリーズらしいラインを保ちながら、上部を広く、底部を細くし、十分な容量も確保することは大きな挑戦でした。
最初の試作品は現在よりさらに大きく、家庭に置くと少し大げさに見えるサイズでした。そこからラインを繰り返し調整し、現在のバランスへたどり着きました。
こんな方に適しています:
- 一度に20g 以上を抽出し、大きな一杯ならではの満足感を楽しみたい
- オフィスでハンドドリップし、机上の器具を減らしたい
- 何度も注ぎ足さず、一度にポット一杯分を飲み切りたい
- Lは、そのままコーヒーサーバーとして使え、抽出後すぐに飲めます
残量が約150〜200ml になると、自然な姿勢で飲んだときに鼻が飲み口の中央へ収まり、香りが特に明確に感じられます。

仕様の目安
| サイズ | 容量 | 口縁の厚さ | 口縁の直径 | おすすめの場面 |
|---|---|---|---|---|
| S | 約60-65ml | 約2mm | 標準 | Espresso、テイスティング |
| M | 約170ml | 約2-3mm | Sより約 1-1.5cm 大きい | 数回に分けたテイスティング、Cafeでのシェア |
| L | 約300-330ml | 約3-4mm | Sより約 2.5cm 大きい | オフィスでのハンドドリップ、一杯で最後まで |
私が日常的に使っているモデル
正直に言うと、以前はSをもっともよく使っていました。しかし最近は、まもなく登場する限定モデルのSharing Cup Alphaを使っています。
Alphaの特徴は何か、なぜ中央にくぼみがあるのか。そのお話は、次回にご紹介します。
最後に
コーヒーカップの好みは人それぞれです。厚みのある手触りを好む方もいれば、軽やかな感触を好む方もいます。保温性を重視する方も、風味の表現を優先する方もいます。
この記事では、私たち自身のデザインの考え方と、コーヒーカップについての観察をご紹介しました。カップを選んでいる方の参考になれば幸いです。
Sharing Cupについてご質問があれば、ぜひコメントでお聞かせください。
Sharing Cup S / M / Lは、現在公式オンラインストアで販売しています。
Link : https://mycoffeestage.com/products/coffee-stage-sharing-cup











